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日々の妄想の墓場。
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町娘リンク:香夜嬢・忍フォックス:俺
2日目~いざ往かん和風ハリウッド村へ

こんなそんなで2日目の昼。
俺とお嬢は映画村に行くことにした。
提案者はお嬢の方だ。俺も行ったことがなかったからどんなもんかと多少の期待をして行った・・・・だがしかし。

ででーんと立っていたのは四角い箱みたいな入口。何これデパート?

お互い顔を見合せて言う。現代的だね、と。
というかどっちももっと瓦の並んだ和風の建物とか思ってたのだ。
五重塔見に行ったら高層マンションだった、みたいな。
びっくりしててもしょうがないので入場する。

村のヒーローショーや役者さんの写真、撮影に使われたものを見て回る。
昔の番組というのは言えない不自然さがいっそ愉快に見えてくる。
しかし最近の役者さんはイケメンだったり美女だったり。
こ、こんなスマイル当時のテレビにはないぜ!

そのまま奉行所みたいな所に入る。
桜の刺青入れたおっちゃんがお裁きするところ。
俺の目の前にいたおっちゃんが同じポーズを撮って家族に写真を撮ってもらっていた。
誰か砂利の場所で土下座しないかと見ていたが誰もしなかった。
やはりただのおっちゃんでは駄目なようだ。
俺はお奉行様が座っている後ろのふすまが気になり開けようとしたが開かなかった。
その時ちょっと離れた所にいた別のおっちゃんがすごい期待の目でこっちを見ていた。

見たいよなぁ舞台裏って。

名残惜しくもお土産屋さんに入る。
店員のにいちゃんにものっそい買って行けアピールされた。黙らっしゃい関西商人がー。
田舎者だからって何でも買うと思うなよー、でも手裏剣は欲しいなー。
店員の兄ちゃんに大学生?って訊かれてそのままハイそうですという俺。

う そ で す け ど !

大学生とかだったら今この場にいねーよと思いつつ手裏剣購入。
お嬢の方は服やら家紋キーホルダーやらお土産を購入していた。
武器系をひとつも買わないあたり俺と彼女の人の違いがうかがえる。
刀もいいなーって思ったけど置くところがないから耐える。ああ、かっこよいなぁ刀。
隣の手裏剣の的当てに俺だけやってみる。が、見事に手裏剣な斜めに飛ぶ。
当たるっちゃあ当たるがなぜか斜めに。きれいに的を外してく。
景品はハリセン。良い音がした。

道々テレビで見たことあるような場所を歩きながらあれやこれやと一軒一軒入ってみる。
遊女の人形とかあったけど・・・少し怖かった・・・どこを見てるんだお姉さん。
その他なんきんたますだれ見たり役者の侍さんと写真撮ったり。
どの方も気さくで話がうまい。さすが客商売。
ちょっと早目の夕食を摂りつつお土産屋さんをぶらぶら歩いていたらなんきんたますだれの人が横切って行った。
わりと凄い大道芸者的衣装だったのだがそのまま外に出ていったのでちょっとすごいと思ってしまった。
俺なら速着替えたいともう恰好だもの・・・。

太陽が傾く頃に俺の家に帰還する。
お嬢には思いの外楽しかったらしくこちらとしても安心した。
なんたって入口が箱的な建物だったから・・・。

その夜も結局明け方までぐだぐだしてしまう。
でもいいんだ、楽しくて幸せだから。
不快と言う言葉がいっそ清々しいほど無く、俺の2日目が終わった。


続きにフォックスとリンクで時代劇的な妄想を置いてみる。



なんかこう・・・新しいジャンルを模索していて時代劇にも走ってみた。
トワリンクが女の子なところはナチュラルスルーしていただきたい。




「さぁさぁ皆様、刷ったばかり瓦版!中はなんと、あの『狐』のことだ!」

店の斜め前、橋の手前ぐらいで大量の瓦版を持った男が売り言葉を言っている。
元気の良い声だなぁと思いつつ、自分は目の前の店に立った。
入る前に、少し着物を直して鏡で自分の黒髪、黒眼を確認する。
どこからどう見ても一町人にしか見えない。
鏡を懐に仕舞い、店の入口をくぐった。

「ごめんください」
「はい・・・」

からりと障子が開き、出てきたのはもの静かな町娘。
この鍛冶屋の一人娘だ。よく働く良い子。
十人中十人が振り向きそうな美女だが、残念なのは職人の娘故かあまりしゃべったり笑ったりしないところだ。
もっとも金色の髪に青い目をしているから、この黒髪黒眼が当たり前の世の中では差別の目を向けられたことだろう。
だが海を超えてくる異人とは違う。彼女もこの大和の国の者だ。

「俺だよ、お輪(りん)」
「狐・・・今日は、どうした?」
「瓦版が回ってるから、もう用は分かってると思うんだけど」

申し訳なさそうに言うと、娘は少々眉を顰めて短く上がれと呟いた。
別段部屋へ案内をする気もなく、そのまま台所の方へ消えていく。
自分はというと、勝手知ったる人の家、親しく足を部屋の奥へと進ませる。
一番の奥の間の障子を開けると男が一人、キセルの煙をくゆらせながら座っていた。
鍛冶屋と言うよりはまるで侍の将軍のような威厳と佇まいに苦笑する。

「久しぶり、って言っても1週間ぐらいかな」

土産の酒を前に差し出しつつ、男の向かいに座った。
黒い浴衣を着こんで金色の文字が浮かび上がる羽織を肩から掛けている。
ぐっと掻き上げた髪は娘とは反対に黒と銀を混ぜたような色だ。
だがこの男をより一層ガラ悪く見さすのは隻眼で、深い紫色の右目だけをぎらりと輝かせているからだろう。
刀鍛冶はその職業故に片目を失いやすい。
うまそうに煙を吐きだし、俺の持ってきた酒を掴む。

「で、今度は何やらかしやがった」

客に向けるとは思えない口調で男が問う。

「おやぁ、狼の親分さんならもう知ってると思ったけど」

にっと笑うと心底めんどくさそうな目で見られた。ひどい。

「てめぇが何でも屋ってことは分かって聞いてんだ」
「もー何でも屋じゃなくて戦屋(いくさや)って言ってるだろ」
「てめぇの場合似たようなもんだ。いいからとっとと言いやがれ」

そこまで言ったところで障子が開いた。
少し俯いた娘がお茶を2つ、盆に乗せて持っている。

「お茶・・・持ってきたけど・・・」
「あ、ありがとう」
「そこ置いとけ」

言われたとおり、素直に自分と男の間に盆ごと置いて去っていく。
俺はぼんやりと、だが焼きつけるようにその後ろ姿を見送っていた。

「おい、狐。とっとと言え。何度も言わせるんじゃねぇ」
「あーはいはい。今回は化け猫だったよ。猫又ってやつかな」
「・・・じゃあ結論からいうと、外れだったか」

男がまたか、というような顔をする。

「うん、でも今回はちょっと気になることがあった」
「何だ?」
「その前にいつもの約束が先」
「・・・嫌なガキだ」

ガキではない、かれこれ400年は生きている。
確かに目の前の男はそれ以上を生きているから彼から見ればガキなのかもしれない。
男はキセルを脇の箱に置いた。

「どいつを鍛えりゃいいんだ?」
「鍛えるって言うか、小狐丸を使っちゃったから手入れをお願い」

小狐丸とは、刀の名前だ。
大事な大事な、親の形見のような刀。
あまり血に濡らしたくなかったけれど、それ以上に強い武器を持っていないから。
しかたなく使った。でないと自分が死んでいた。

「・・・てめぇがそれを使うってこたぁ強かったか、化け猫は」
「うん、いろんな肉を、食ってたみたいだから」
「・・・まさか」
「そいつを斬った時にちょっと小狐丸が反応したんだ」

小狐丸を取り出すとぱっと男が取り上げる。
すらりと刀身を抜いて唯一の目を細めた。
刀鍛冶には分かるのだ、刀が何を今まで斬ってきたのかを。

「どう?」
「・・・俺の所の小さいのを一匹、食ってやがる。あとはまちまちだ」
「・・・狐はいるか?」
「・・・いねぇな」
「そう・・・俺の方は外れだね・・・」

俺も彼も捜している。
俺は消えた父親を。
彼は散り散りになった自分の仲間達を。

「なぁ、一目連大神天目一箇神(いちもくれんたいしんあめのまひとつのかみ)」
「・・・今は現つの世に生きる狼にすぎねぇ」

苦しそうな瞳で呟いた。
彼はずっと、過去に追われる神なのだ。

「早く、群れが戻るといいね」
「だったらてめぇも親父ぐらいのになりやがれ、稲荷」
「うん、小狐丸をよろしくね」

冷めかけたお茶を飲み干して席を立つ。
男はまだ小狐丸を見つめていた。
自分はそのまま台所へと向かう。
輪においとまを告げるため。
本当は、もっと一緒にいたいのだけれど。

「お輪、俺そろそろ帰るね」

台所ののれんを掻きわけながら言う。
お輪は窓から差し込む夕日を背に夕飯を作っているところだった。
しまった、ここからじゃ逆光で顔がよく見えない。

「狐・・・もう、用は済んだのか」
「うん、刀預けてきた」
「・・・夕飯は、どうする?」
「一緒にしたいけど、今日はまだすることがあるから」
「そうか」

短く切るとまた娘は料理の手を動かし始める。
よくよく見れば夕飯というより酒のつまみを作っているようだった。
夕暮れ前に来たから自分と男―父親が酒を飲むと思ったんだろう。
手間をかけさせちゃったかな、と早く話を切り上げなかったことに少し反省した。

「俺の代わりに狼の相手をしてあげなよ」
「・・・親分が良い、と言えばな・・・」

不思議な娘だ。
父親のことを父と呼ばずに親分と呼ぶ。
いくら生まれた後に父親が分かったとはいえ変っている。
父親も父親で娘にも自分と似たような態度だからしかたないのかもしれないけど。

「あのさ、これお土産」
「なんだ・・・?」

手を止めて近寄ってくる娘に差し出したのは薄紅色の一輪の花。
でもただの花じゃない。特殊な水で育てた花で、七日七晩水につけなくてもかんざしのようにまっすぐで本物より瑞々しいのだ。

「・・・いいの、か?」
「お土産っていっただろう。あげる」

嬉しいのやら困っているのやら、微妙な顔で受け取られた。
まぁでも受け取ってもらえただけでも、良しとしよう。

「ありが、とう・・・」
「その花が枯れるまでにはまた来るよ」

少し赤い娘の顔に満足しつつ、俺は店を後にする。
夕日は沈みかけ、烏が燃えながら飛んでいる。
さぁ、今宵も父親を探さなくては。

「祟り神になる前に」

夕日が完全に沈むと同時にざわざわと己の姿が変わっていく。
狐色の髪に深い緑色の目、再生していくように伸びる牙と爪。
そうして月が顔を出した頃。
狐が一匹、町を駈け出した。




・・・妄想長くてすいません。
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酒切フータロー
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自己紹介:
読みはしゅきるふーたろー
よくさけきるとか言われる
紳士なる漢を目指して
女性向け小説メインの
同人活動をしている

現在は関西に仮住い中
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