日々の妄想の墓場。
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実家で方言ばりばりで会話した後帰ってきたので都会の人に合わせて言葉を使おうとすると4回ぐらい噛む今日この頃。
もうカミカミじゃねーか!
まぁ田舎の言葉ってこの都会の人はきつく聞こえるからしかたないんですが。
あーもーストレートに話したいぃぃぃいいけどそれやった瞬間相手の動き止まるしなぁ。
こっちの人、大阪弁とか平気なくせになんで俺の田舎の言葉がきつく聞こえるんですかぃまったく。
これでも生八橋の皮に来るんだ言い方してるのに。
おいおい感覚を取り戻していくだろうとして。
続きに時代劇小説。
そーろそろ一章大詰めです。
西の空に月がかかる頃。
闇を追うように、花の散った桜の木がざわめいた。
ニ、三枝を震わしたかと思えば、ふ・・・と枝に人影が現れる。
人と獣の間のような姿で、青い毛にしっぽをなびかせて音もなく桜の木の前に降り立つ。
彼こそ、この御神木のある土地を守る地主神だ。
「こんばんは」
地面から声がしたかと思うと笠に繋がった薄い緑色の布が舞うように現れる。
その布の僅かな切れ目から覗くのは金糸の髪と青い瞳。
「貴様か」
地主神の赤い眼が切れ目の間を見詰めた。
そこから見えるのは、きれいな笑顔。
「あなたなら目を使わずとも波動で感じられるのでしょう?」
「・・・動けるのか?」
「はい。僅かな間ですが」
笠を取り、姿を全て晒す。
一番目に着いたのは、すらりと長い剣だった。
「厄介なものを持っている」
「ええ。狼が作った龍の剣・・・持ってくるのに苦労しました」
「決着をつけるのか」
「・・・今日はやけにお話ししてくださいますね」
鈴を転がすような声で笑うと、地主神はぷいとそっぽを向いてしまう。
相変わらず恥ずかしがり屋さんだ、と琳は心の中で可愛く思う。
「もう、帰って来ないつもりだろう」
「それはどうでしょう・・・でも、お世話になりました」
「・・・礼なら先代に言え」
「良い方でしたね、あの人も」
先代は強い地主神だった。
人間達が連れてきた鎮守神の支配を打ち破り、この土地を守った者。
「こんな霊獣の私を後釜にして亡くなられてしまわれた・・・」
地主神は悲しそうに眼を伏せた。
先代の地主神が命を張ってまで鎮守神を退けたのはきれいな自然の残る環境ではないと生きることのできない霊獣を守るためだった。
地主神の瞼の裏に、先代の記憶がまだ強く残っている。
自分に波動を教えたこと、共に過ごしてきた日々。
「きっと先代もあなたが生きていることを喜ばれていますよ」
「・・・そうか・・・」
空は夜が明けようとしている。
薄く見えなくなっていく星々が散っていく花びらのように儚かった。
「私はもう行きますね。決着を付けるわけではありませんが」
「・・・この波動を持ってしても、貴様の心が読めない」
「そうですか・・・そうでしょうね」
まるで当然だとでも言うように琳が呟く。
朝日が桜と2人を舐めるように照らし出した。
「伯母様が、お見えになってしまいました」
何の感情もなく眩しい光に目を向ける。
琳は射すようなその光も、少しも暖かいとは感じなかった。
ただ目を逸らすことなく、昇りゆく太陽を見詰めている。
「・・・もう、行きます。体が動く内に」
「それで貴様の地獄が救われるのか」
溜息に混ぜた重い言葉を琳は大きな声で笑い飛ばした。
嘆きのような笑い声は桜の枝を揺らす。
「ふふっ・・・私を私以外の誰が救うというのです?」
「あの狐には救われなかったか」
『狐』と言った瞬間、琳の笑顔が潮を引くように失われた。
代わりに何かを慈しむような、優しい顔を覗かせる。
「あの方が好きだから、こうするんです」
長い指が剣の鞘をなぞった。
「理解し難い」
「私の最期のわがままですから」
「消滅しうる人は皆わがままだ」
琳は目を丸くした後、子どものように笑った。
そうですね、と言って地主神に手を振る。
地主神は手を振り返さなかった。
そうしてとうとう完全に見えなくなってしまった頃。
「誰かいるのか!?」
突然の声に地主神ははっとして振り返る。
見れば、大層息を切らした狐が立っていた。
「・・・狐、いや、神使と呼ぼうか」
「あん・・た・・・は・・・っ」
「この地の地主神」
よたよたと狐が地主神に近づく。
あと少し、と言うところで立ち止まり桜に手を当て、身体を支えた。
「俺のこと・・・知ってるのか」
ようやく息を整え、狐が地主神を見据える。
地主神は憮然とした顔で見返した。
「金糸の髪の男はもうここにはいない」
「・・・っどういうことだ!?」
「・・・手遅れだ、神使」
狐の顔の焦りが一層ひどくなる。
立ち尽くすことのできない焦燥が身体中を駆け巡っているようだった。
「そんな・・・俺は・・・・!!」
「真実は奴の口から聞くがいい。去れ」
「琳は狼の所に行ったんだな」
「そうだ。もう、間に合わないかもしれない」
ぎゅうと狐が掌を握る。
「それでも、行くよ」
決意を秘めた視線に、地主神は言葉に詰まった。
手も振らずに、狐は風のように駆けていく。
やがて狐の姿が見えなくなり、地主神は呟いた。
「皆、皆、馬鹿だ、遺すだけ遺して去っていく・・・」
彼の真紅の瞳に水が張りつめる。
零れない内にそれを拭い高く細い声で、弔うように、吼えた。
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