日々の妄想の墓場。
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今日の一言。
何かに失敗しそうになった時に管理人がよく言う言葉。
『○○が駄目だったら旅に出る』
受験の時なんかよく言ってた気がする。
続きでなんか突発もの。
前の三角関係ものとは関係ありません。
フォ時リンのトワリンフォトワリンのウルフォのウルトワリンです。
もうわけわからん。
とりあえず亜空の使者のラスト辺りの話と思ってください。
なんか突発もの。
突然現れたものは、世界のすべてを壊して行った。
命あるものが生きる場所をブラックホールのように飲みこんで収束して消していく。
それに立ち向かったのは、まるでおとぎ話のような選ばれし者達。
「タブー!!」
選ばれし者の中の、さらに選ばれた者が彼に攻撃を加える。
辺りは激しい攻撃の嵐となり、悲鳴と怒号が飛び交った。
長い、長い間戦い続け、残る選ばれし者は2人となった。
ぼろぼろの緑の衣を纏った勇者と、片腕をだらりと遊ばせた狐。
2人とももう体力、気力が限界を越そうとしていた。
「・・・・・」
タブーの手が何かを辿るように空を描く。
その瞬間、閃光の糸ようなものが狐の目の前で破裂する。
「フォックス!!」
「―――――っ!!」
悲鳴も出なかった。
狐は床を転げ回り、糸の切れた人形のように動かなくなる。
「あ゛・・い、嫌・・嘘、だ。嘘だ、ぁ、ああ゛あ゛っ」
勇者が絶望に満ちた顔で狐に駆け寄る。
勇者が掬った狐の手は、パタリと床に落ちた。
動かない。
動かない手。
動かない足。
開かない瞳。
開いたままの口。
そこから零れる、赤。
「うわああぁぁぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛ぁぁっッ!!」
悲鳴とともに、剣が薙いだ。
平和は勇者の手によって取り戻された。
皆が笑っている。すべて、元に戻ったのだと。
「元になんか・・・戻って、ない」
カーテンだけが唯一水色の四方が白い病室でリンクが呟く。
平和になったのに、フォックスが目を覚まさない。
そっと胸に手をおけば心臓の鼓動が触れる。
そっと口に手をおけばささやかな呼吸が返ってくる。
それなのに、目を覚まさない。
「フォックス・・・」
フォックスの傷は生きているのが不思議なぐらい重症なものだった。
マスターハンドとクレイジーハンドにより傷は癒えたものの、何故か目を覚ますことがなかった。
ぼそぼそと彼らが『ばぐ』だの『でりーと』を言っていたが、リンクにはその意味を知ることはできなかった。
「そろそろ・・・起きろ・・・」
祈るように手を握る。
「またここにいやがったのか」
背後から、呆れたような声が飛んできた。
「ウルフ・・・」
「毎日毎日飽きねぇな」
「だって・・・今日は、起きるかもしれないから・・・」
「そうかよ」
ウルフは冷たい隻眼でフォックスを眺める。
どういう思いで見つめているのかわからない。
「ウルフは、何しに・・・?」
「死んでねぇか見に来ただけだ」
「死・・・・」
ゾクっとリンクの肌が粟立つ。
タブーと戦った時以来、フォックスのあの血塗れで倒れた姿が頭から離れなかったからだ。
一度刷り込まれた痛みの記憶はなかなか消えることもなく、思い出す度に辛さが上塗りされていく。
「まぁ、まだしぶとく生きてるみたいだがな」
「フォックスは死なない。・・・死なせ、ない」
真剣な瞳で訴えれば、鼻で笑い返された。
「眠れる森のなんとやら、だな」
「うるさい・・・」
威嚇するように睨んでも上からの威圧の目線で押し返される。
「せいぜい目覚めることでも祈ってろ」
「・・・言われなくても」
「ハッ、祈るだけじゃ何にもならねぇって皮肉が分からねぇのか」
ウルフの言葉にリンクはベッドサイドのテーブルを叩いた。
「じゃあどうしろっていうんだ!?」
堰を切ったようにリンクが叫ぶ。
「何も、何の反応もないんだ!なのに、どうしろって・・・言うんだ・・・」
「ピーピー騒ぐんじゃねぇ。だがな、待ってるだけで事態が好転すると思うな」
ウルフは吐き捨てるように言うと病室を後にする。
残ったリンクはずれてしまったベッドサイドのテーブルを戻し、再度フォックスの手を握った。
「大丈夫、大丈夫だ・・・すぐ、目覚める、から・・・」
縋るような気持ちはぽたぽたと瞳から零れ落ち、フォックスのシーツへと吸収された。
今夜は満月。
雲もなく、ライトのように煌々と月が深夜の廊下を照らしていた。
眠れなかったリンクは一人、フォックスの病室に向かう。
暇さえあれば通うようになった病室。
少々暗くとも道順も何があるかもすべて覚えてしまったリンクには容易い順路だった。
「まだ、眠ってるんだろうな・・・」
病室より少し手前の窓で立ち止まる。
空には欠けようの無い月がくり抜かれたように張り付けられて輝いていた。
今日目覚めていれば一緒に月を見れたのに、と残念に思う。
ふと、フォックスの病室から声のようなものが聞こえた。
「・・・っ!?」
ただの幻聴か、でももしかしたら、という思いが交錯して心臓を高鳴らせる。
リンクはそっと、フォックスの病室をドアにつけられた小さなガラスの板から覗く。
月明かりに照らされた光景は、言葉にできないものだった。
「っな、んで・・・ウルフ、が・・・・」
震える膝を叱咤して目を凝らす。
夢じゃない。間違いない。
ベッドの上でウルフに組み敷かれ、開いた瞳と口から液を零すフォックスの姿があった。
「っそ、んな・・・」
不意に昼間のウルフの言葉が耳の中を反響する。
『待ってるだけで事態が好転すると思うな』
気が付けばその場から全力で逃げて出していた。
目の端から大粒の涙が溢れる。
悲しくて嬉しくて憎くて悔しくて。
この夜、リンクはタブーに受けたものよりもっと深い、本当の絶望を知った。
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